若者の心と才能の話し。
今朝の事。いつもカットに来られる古いお客さまKさん。随分昔だがお嬢さんが私の勧めでとある地方劇団に入団し、一時期はとても活躍された。そのおかげで彼女の人生が変わり、とても幸せな生活を送っているとKさんは来店の度に感謝の言葉を言ってくれる。結婚後お子さんも出来て劇団は離れているが、それでも公演があると裏方を手伝っていると言う。今日も近々行われる公演のチラシを持参されて、良ければ見て下さいと、ご自分の娘さんが出てる訳でもないのに熱心だ。
考えてみると、こういう例が他にもあって、なんだか鬱々とした生活を送っている若者に何かしら表現の場を紹介してきた訳だ。時には芝居、時には歌だったが、みんなそれぞれの世界で大いに楽しんでいる。こうした出会いはもちろん本人がその気にならなければ何も起こらないが、少し興味があるだけでそれまでとは180度違った人生が歩める、と私は思う。
自分自身も色々な師匠と呼べる人との出会いで人生が潤った。本当に恵まれていると思っている。
Kさんが、「私のヘアを見て、何処の美容室で?とよく訊かれるんですよ。」と言ってくれる。で、わが店の名前を出すと、「へえ~?あの先生まだお仕事されてるんですか?と言われますよ。」とのこと。ま、お世辞半分だろうが、わが夫も言う。「お母さんの年で仕事やってる人居るの?」と。もちろん居ると思うし、量はともかくそれぞれの方と密なお付き合いになっているのではないか?面白い仕事に就いたものだ。と今更ながら思う。
さっきちらっとTVを見ていたら今の朝ドラの脚本家が出ていて、どういう想いで書いたかを話していた。先に見ていた夫が言うように確かに驚く程の若い女性だ。そして考え方がしっかりしている。自分が聞いた場面では、「世の中でスポットを浴びる事が無い人達にしっかり焦点を当てたかった。何らかのコンプレックスを抱えている人の内面を、その逆にマジョリティ側にいる人が持つ権力が如何に意識せず権力を振るっているかをも描いた。」と言う。それを聞いてドラマの輪郭がハッキリした思い。確かにそうだとドラマの内容を振り返る。特に主人公の寅子が良かれと思っていつの間にか周りを傷つけているという描き方は凄いと思った。一生懸命な時なかなかそこまで気が回らない。自分自身が手一杯でもあり、寅子のように一人で背負い込んでる感のあるときには、他人のことを思いやる余裕がなくなる。この作者は誰にでも起きうるこういう間違いを正すチャンスをキッチリ与えている。所謂マイノリティと言われる人々をもかなり描いている。どんな人も社会の構成員だとキッパリ主張しているのはこれまでに無いドラマだと思う。
若い才能がドンドン出てくるなあ。嬉しいことだ。