孤独というもの。
孤独というある種捉えどころの無い心模様について、近頃度々考える。現在闘病中の人の感じる孤独とは、健康に日常を送っている人には計り知れないものかも知れないと思う一方で、人には想像力があるとも思う。だから、幸福と思って生活している人も、ひとりぼっちと落ち込んでいる人も、みんな同じかも知れない。そもそも終わりのある人生を与えられた人間にとって、孤独で無い人はいないのかも知れないと思うのだ。
今日の朝日新聞にあの寂聴さんの俳句について出ていたが、孤独についてのものが幾つか。
死ぬる日もひとりがよろし陽だけ照れ
生ぜしも死するもひとり柚子湯かな
ひとりなりこころにあられふりしきる
得度してあれ程の人だったが、この寂寥感は万人のものと変わらない。これこそが我々に与えられた試練なのだろう。家族が居ても居なくても、健康だろうと病気だろうと、どんな環境にいたとしてもそれぞれみんな孤独だ。
そうと分かれば優しくなれる。
なかなか良いドラマを最近何話か観たが、「1122」という題名。これを良い夫婦と読むそうな。若い男女が恋愛して結婚して、互いに思ったように行ったり行かなかったりで公認不倫の約束までして実際そうなって心が波立ち、修復のつもりの不妊治療に疲れて離婚する。が、彼女の母親の突然死によって人の孤独や本当の優しさに気付き元に戻る、というストーリー。かなり乱暴なあらすじのようだが、実際は丁寧に丁寧に二人の心情を描いていて腑に落ちる内容だった。出演者の力も大きいと思うが、監督の脚本家の目線が素晴らしい。日本にも良い作品が出てきたなあ、と思った。アラフォー世代の悩みのようなものがよく出ていた。
この作品の一つのテーマが孤独だったと思う。離婚したとき彼女が女友達に、「離婚して自分の輪郭がハッキリしてきたように思う。」と告白する場面があり、これから一人で生きていく覚悟のようなものが描かれた一方、最後に住み慣れた我が家を売却する段になって、「ここに住み続けたい。」と号泣する場面も。
ま、色々あっての人生だ。
孤独だからこそ、互いに優しく生きれば良い。