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2023年1月24日 (火)

平和呆け。

「銃口」を聞き終えた。タイトルからして悲劇だろうと思ったが主人公は戦地から生還し、その家族も弟以外は健在だったし、婚約者とも結果結ばれるという、意外な顛末だった。勿論それが悪いというのでは無い。洋画なんかも、アメリカものは大体最後がハッピーエンドで見やすいし、なんといっても平和に終わる物語は終を知って楽になるものだ。

この「銃口」という作品は、三浦綾子というキリスト教信者ならではの、ある意味布教か?と思われる部分も無いではないが、それでも読者を物語に引き入れる力を持っている。特に背景が太平洋戦争まっただ中であればなおさらのこと。その時代に戦地に行った人達の日常や残された家族のことは実際を知らないだけに、さもありなん、の思いで聴き進んだ。自分の年齢では、幼児期から様々な媒体を通して、あるいは親族から当時の事を聞くチャンスはいくらもあり、知っているような気がしている。ま、今の若者よりは知っているだろうが、それでも現実を知っているかと言われればノンだ。全て想像に過ぎない。その意味で、矢張り、こういう手の本は読んでおくべきだろうと思っている。

この主人公は小学生時代に出会った教師に憧れて、自分も教師になるが、あらぬ疑いをかけられて7ヶ月も投獄され、出所して間もなく戦地へと送られる、という激動の人生を送る。この時代特有の、「あらぬ疑い」によって人生がメチャクチャになった人は大勢居ただろう事が想像できる。そしてその事件が事件として新聞に一行も載ることがなく、隠密裏に進められるという理不尽さ。日本が戦争にと動いていく時に抗えない力によって人生が狂わされる。それが全て、「天皇陛下の御意志」としてまかり通ったわけだ。

今のロシアがそれではないのか?他国の事を眺めつつも、もしそれが自国に起きたらと考えるのは無駄では無い。

 

一昨日眠れずに困ったが、昨日は初めて廊下を杖で7周歩いたのもあり、夜湯たんぽをお借りして寝たのもあり、昨夜はぐっすり眠れた。夜担当の看護師さんが特に親切で何くれとなく世話を焼いてくれる。彼女も自分のベッドでないと眠れないから良く分かります、と言ってくれたりする。確かにここの布団たるや、薄い掛け布団一枚で、年中暖房が入っているとは言え、これで眠れているのが不思議だ。お風呂に入れないのもストレスだ。帰宅して湯殿に浸かるのが目下の一番したいことだ。

ところが、若者は違う。理学療法士の若者は、「夏でもお風呂入るんですか?」と不思議そうに言う。「勿論。」と答えつつ、日本の若者は段々欧米人化しているんだなと思う。

今の希望は、お風呂に入る、アイスクリームを食べる、ビールを飲む、そういえばお餅も食べてないなあ。って、ほぼほぼ食べることだなあ~。平和呆けか。

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