爽快、痛快、ちょっぴり寂しい。
先ほど婿殿ご推奨の映画、「老後の資金がありません」というタイトルのものを見終わった。 一人で見ながら大笑いしたのは久しぶり。最後のテロップで三谷幸喜の作と分かり、なるほどと納得。草笛光子という素晴らしい女優を酷い扱いしたので、さぞ名のある作者だろうと思ったらやっぱりねえ。彼女の美しさは十二分に見せながら、作品の一番面白い所に彼女の信じられない酷い変装を持ってくる辺り、さすが~であった。そして流石の女優魂。見事に要求されたことに応えていた。
簡単なあらすじはこうだ。天海祐希フンする普通の主婦が普通の生活の中で、10万円弱の赤いバッグを買いたいとウインドウを覗いては断念する場面から始まり、町中の大きな広告テレビ画面で有名な経済学者が、「老後は2千万、いや4千万ないと生きて行けません!」と連呼するのに絶望する。住宅ローンも払い、たださえ汲々とした生活の中、次々と親の葬儀費用やら、夫の失業やら、挙げ句の果ては姑を引き取り一緒に暮らし始めるというハプニング。散在癖のある姑がオレオレ詐欺に引っかかり、娘の結納金まで無くしてしまうというアクしデントに次々と見舞われるが、ついにはその姑が生前葬をやると言い出し、これ以上お金はありませんから、と参加もしないし一切関係ありませんからと宣言してパートに出る。が、帰ってみると姑の大切なニトロが洗面所に置きっぱなしになっていて大慌てで走って会場に届ける。着いてみるとその姑が自分への感謝の気持ちを参加者に披露している最中だった。。。。その後姑は夫の妹に引き取られることになったり色々あるが、まあ、ハッピーエンドで単純なコメディかと思わせるものの、この夫婦が二人きりになり、お金には無縁のシェアハウスに暮らし、そこのコミュニティの中で真の幸せを感じるという下りはなかなか考えさせられるものになっていた。政府がナント言おうとそんなものに惑わされないで自分の生き方は自分で決めるという、ある意味爽快な物語だった。
昨日届いたばかりの分厚い本を、やっぱり少しずつでも読み始めようと最初から数ページ読んでみた。これが予想外に面白い。って、失礼な言い方だが、想像とは違っていた。冒頭から彼の本領発揮の分野、絵画展に関するものからだったが、あっと驚く評論。我々にとっては美術界の大御所だとしか思ってない画家の作品を悉くバッサバッサと切り捨てている。それが専門知識の上になされているし、対象の絵画も掲載されているので、説得力抜群の面白さ。自分自身、丁度その同じ展覧会は見に行ってると記憶するから、彼の洞察力にも感嘆する。言われてみればその通り、という感想だ。これは痛快と言えるだろう。これから先を読み進めるのが楽しみだ。
日中暫くぶりに来店のお客様はOL時代の先輩の奥様。このカップルの若い頃は誰もが羨む美男美女カップル。おしどり夫婦で色んなことが在りながらも仲良く暮らしていた人達。一時期夫の方が病を得て、献身的な介護を奥様がされていたのを知っている。その後原因不明の食欲不振に悩まされた奥様の方は、それが原因で骨粗鬆症になったらしく圧迫骨折を繰り返したとか。今日来店時、急に腰が曲がり、別人の様になっていて驚いた。今は夫の方から介護して貰っている状態だとか。すべり症という言葉を聞いてぎくりとする。自分自身「将来はすべり症になりますよ」という烙印をある整形の医師から宣告されているから。全く他人事では無い。勿論、健康であるに越したことは無い。しかし、このようにそのように、いつどうなるかは誰にも分からない。そうなったとき、どう生きるか。どう助け合って生きて行けるか。それが大事だろう。
帰りは車でお送りしたが、丁度出てこられた彼と簡単なご挨拶を交わして失礼した。バックミラーに奥様の体を支える彼の姿が映り、、、時の流れをしみじみと感じた。