分人~ある男へ。
平野啓一郎原作ということで、久しぶりに映画館に出かけた。行く前からなんとなく危ない感じだったが、場内が暗くなって、興味の無いCMが次々と繰り出されている間にいつの間にか眠っていた。はっと気が付いてそこからはしっかり見たが、最初の画面と最後の画面の繋がりが見られなかった。で、一緒に行って一席空けて座っていた友人Kを最後のテロップで盗み見ると案の定こっくり。チョンチョンと肩をつついたがそれに気が付くと言うより場内が明るくなって人々がざわめきだしたお陰で目が覚めたようだ。二人で一本観たって感じ?あはっ。
以前読んだ平野啓一郎の「分人」を具現化したような映画だった。一人の人間がその時々で違う世界に住むという流れ。今の社会でそれを実現させるには他人に成りすます他ない。そうしたいだけの理由が主人公Kにはあった。父親が非情な殺人者で、死刑になる。が、父親の幻影からは到底逃げおおせないと思った時、他人の戸籍と入れ替わることを考える。そこから別人として自由な人生を歩み始める。数年間幸せな時間を過ごした後、森林伐採中の事故で木の下敷きとなり死亡。その人が本来の名前では無かったと知った妻が弁護士に真実を突き止めて欲しいと依頼。引き受けた一見順風満帆的な人生を送っているかのごとき彼は、自分の出生についてコンプレクスを持つ人。色々Xを調べて行く内に、他人事では無いと思えるようになってくる。。。。最後に全て明らかになったとき、妻は真実は必要無かった、と言い、弁護士はバーで見ず知らずの人に偽りの出生や故郷を話す。その店には壁に鏡の前に立つ男性が当然映るはずの前の姿では無く、同じような後ろ姿が映り込んでいるという奇妙な絵が掛かっている。このシーンで内心唸ってしまったが、この映画監督。凄い。そもそも平野啓一郎の小説を映画化する自体が相当難しい作業だと思う。字面を映像化するのは並大抵の業ではない。
もう一つ、俳優たちの演技力にも感動した。、、、日本の映画も素晴らしい。
帰路彼女を送りがてら大笑い。お互い最初と最後をみてないなんて!ま、近く擦り会わせようと別れたが、、、。フ。
彼女は大学の生涯学習で、今日から英語圏の映画鑑賞しながら英語を学ぶという講座に行くようだ。誘われて行く気になっていたが、月曜日に病院で、手術の相談をすることになっていて、その結果次第では新しいプランは入れられないと分かり残念。それというのも、最近Amazonで映画を観るときどうしても下に翻訳の字が出てこず、サッパリ分からないままずっと英語を流して観ていてフラストレーションが溜まるということがあり、少しは役に立つかと思ったのだが。ま、お試しで彼女に行って貰い又知らせて貰おう。
年取っても勉強は大切だ。それも楽しみつつというエッセンス付きで。ハハハ。