Pさんのこと。
さあ、今日は誰のことを書こうかと思い、メンバーに事務処理的なメールを書きつつ、仕事のある人達はとっくに日常に戻っているから、それぞれ大変だろうと想像する。若めの人達(敢えて若いとは書かない。蓮井さん、私たちもう若くはないんですよ。と言われたことがあるからだ。)彼女達は練習日に必ずしも参加が出来ない中、本当に良く頑張ったと思う。結局そういう人達は自主練をやっていたわけだ。自分が何をすべきかを知っている人達。この人達のモチベーションの保ち方は素晴らしいものがあった。コロナ禍で、日常生活も危うい中、公演自体がどうなるかの保証もなかった。が、オペラという難題に取り組む限り、短時間では仕上がらないのも事実。絶対時間というものがどうしても必要だ。しかも、独唱ではない上に、お相手の演技と絡む場合、一人ではどうにもならない。なんとしてでもお互いに会う必要もあった。
彼女達の苦しんでいるらしい様子は勿論分かっていた。ガンバッテ練習会場に出てきているのを見るだけで、内心胸が一杯になって本当にご苦労様と声をかけていた。誰をも特別扱いはしないのが私の流儀だから、表向きはそれはしないが、それぞれ抱えているものの重さは理解していたつもりだ。
そういう中に、団長のpさんがいた。みんなをリードしなくていけないポジションにあって、大きな荷物をしょっているらしい彼女の闘いは、相当なプレッシャーだったに違いない。しかし、私の見るところ、その境地を救ってくれたのは、「歌が好き」という強い思いだったのではないか。結果、本番は見事にやってくれた。カーテンコールの幕の中で、思わず涙ながらに手を取り合ったのは、万感の思いがあったからだ。お客様からも多くの賛辞を頂いている。もったいない。が、きっと他の場所で力を発揮してくれるだろう。今後どんなことがあっても、今回の成功体験が彼女を救ってくれるだろうと信じている。やれば出来る。その力を持っている。