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2022年6月22日 (水)

何事も経験に勝るものはない。

今宵の練習には残念ながら松葉杖片方で出かけるしかなく、きっと哀れな老人に映ったことだろう。階段に手すりがあるので二本でなくとも大丈夫と踏んでのことだった。なんとか時間が過ぎて、帰る道々、「こんなこともあんなことも経験しないと死ねないんだわ~」と言うとピアニストが、「又そんなこと言って~。。」と慰めてくれようとするが、これは本音だ。きっとこれから先も色々体験するんだろうと思う。

で、帰宅してから先日Dさんが置いて行った自作のエッセイ集を手に取った。、、、なんというか、抱腹絶倒の面白さ。彼がカナダから日本に来た理由とか、いきさつとか、初めの頃のお初~な体験とかとか。もうもう涙が出るほど面白い。最高だったのは、彼がある女性の親切な計らいで彼女の大叔母に当たる人の家に泊めて貰った時のこと。亡きご主人のものらしい浴衣を出され、あまりにサイズが違っていて、チョンチョクリンな上に高下駄も出され、生まれて初めて履いたそれのバランスが取れず、ゆらゆら揺れながら銭湯まで歩き、入り口で思いっきり頭をぶつけた所までは面白いが、ありそうなこと。ところが、その後、銭湯の仕組みが全く分かってない事から、めちゃくちゃな事をやってしまったらしい。所謂下駄箱を、衣類を入れるロッカーと勘違いして、脱いだものを畳んで畳んで小さくして鍵を閉めようとしたら中からあふれてパンツが飛び出したり!そこに、勿論誰とも知らぬ老人が入ってきて、その人の真似をすることにした。そこで初めてロッカーの間違いに気付き、めでたく籐のかごに衣類を入れることが出来た。そしてその老人の後を追いかけるように湯殿に向かう。この時点で、わが脳裏には、小柄な老人の後ろにピタッとくっついて歩く大男のDの裸の姿がしっかりと浮かんでいる。で、彼は老人の一挙手一投足を真似て、石けんを使い体を洗い、湯の中に、、、やけどするかと思うほどの熱いお湯に、老人と同じように浸かったらしい。またしてもわが脳裏には真っ白い彼の肌が真っ赤になっているのが浮かぶ。疲れを取るためのお風呂が、最もストレスを感じる時間になっちゃった、のお話。この文章の最後にはその老人と小さく会釈して別れたとあり、いかにも日本人らしい老人との心の交流が描かれていてホッとする。

結局この文章がこれほど面白いのは、彼の本当の体験だからだろう。彼を知る私だからの面白さだろうとも思う。

さて、本日の練習箇所は、失恋男が未練たらしく迫る場面だが、必ずしも体験して無さそうな人達の演技がどこまで面白くやれるか。想像力に頼るほか無い。な~~。

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