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2018年6月 4日 (月)

見終わって泣く映画。

友人からの薦めで、今日は夫と夜の映画館へ。夫婦で行くのは何年ぶりだろうか?覚えがないほどの昔だ。

17時までの短歌の歌会で多少なりとも頭を使っていたので、予想通り前半はかなり努力したが寝てしまった。

結論として、非常に地味な映画で、これがカンヌ国際映画祭最高賞を獲得したというのに、非常に驚かされた。地味というのが、登場人物達のキャラに留まらず、描き方も大げさな、例えば殺人シーンや格闘シーン、子供虐待現場とかが映像としては全く描かれてない。しかし、彼ら全員の背中には普通でない闇が背負わされている。そしてわずかに残った人間としてのあるべき生活が古い粗末な家屋の中で営まれていて、彼らが身を寄せ合ってそれぞれの傷を手当てしながらいたわり合いながら、それも殆ど本物の家族としての愛情をかもしながら暮らして行くという不思議。誰一人として本物の家族は居ない。それはあたかも、動物に近い部分での「絆」を感じながら暮らしているかのようだ。家長役の男は万引きを生活の一手段としてはばからず、子供にさえ教える。善と悪が逆転しているが、その生き方には妙な説得力があったりする。貧乏から脱出するためにはなんでもやる。

「家族」であるが故の葛藤や、不自由さから解放されて、素の人間として身を寄せ合う姿はどこか美しくさえある。

一方で、貧しく、罪にまみれていて、教養もない、日本の底辺を彷徨っている人たち。これはきっと現実にあるのかも知れない。いや、きっとあるんだろうと思ったことだ。そして、じゃあ、人間にとって一番大切なものはなんだろう?彼らには生きる権利もないのか?この映画を観ている人たち、あんた達は真の意味の「絆」を持ってますか?その絆は本物ですか?などなど、、、、多くの問いかけが。

出色の出演者は矢張り麒麟さんだ。なんという自然な台詞回しに動き。もしやアドリブ?と思う程の自然さ。周囲もそれに引っ張られている感じの場面もあったり。他にも沢山のオーディションで選ばれたらしい子役も、監督の力だろうが、ホントに良かった。

 

始まる前に、「ええ~?2時間もある~?」とわめいていた夫も、私同様最初は寝たが、最後まで温和しく見て、「良かった」を連発していた所を見ると、やっぱり良い映画なんだ。

 

見ているときは、それ程出なかった涙が、エンディングの静かな音楽が流れ始めると、何とも言えず切なくなってすすり泣くほど。

音楽の使い方も異色で効果的。映像のアングルも要所要所に非常にこった部分があってそれも楽しめた。是枝監督のこれからが楽しみだ。

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