ポーズ。
病を治す最後の手段とばかり、チェチ練から帰りに温泉に寄る。折からの大雨に一瞬くじけそうになったが、我が家の寒いお風呂場を想像しただけでぞっとして、思い切って車のドアを開ける。
いつもよりゆっくり目に入ろうと初めから考えていて、結局たっぷり1時間の入浴となる。そこである女性に目が止まる。4十代だろうか。ショートカットのすらりとした美人で、素敵な雰囲気の女性だ。この女性、色んな湯殿で色んなポーズをして入っているので、つい目が行ってしまう。何かしら深い思いに捕らわれているのは間違いない。最後に見たのは湯殿の縁に腰かけて足を組み、丁度ロダンの「考える人」のポーズであごにやった手をグイと壁に押しつける格好だ。なんとも絵になるその姿。失恋か、はたまた職場の揉め事か?いずれにしろ考えてもどうにもならないがつい考えてしまう、、、といった風情だ。
これはケッコウ珍しい光景だ。この女性のようにまるで自分の世界に入ってしまっている人は、そうそういるもんではない。少なくとも色んな女性が周辺に居ることも多いし、いつもはその目を気にしながら無視しているかのようにしているだけだ。遅い時間のせいか、たまたま今日は空いていたが、こんな彼女に目を止める人が自分以外に居たような気はしない。
帰りの道中も何となくその女性のことを考えながらだった。一体どんなドラマを抱えているんだろう、、、、。
ポーズ一つで、いろんな事が想像できた興味深い入浴タイムではあった。
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