やっとこさ短歌の締め切りに間に合った。が、それを中央郵便局までただで持って行くのもな~、と考えていて、フトちぇちのメンバーが絶賛していた映画を思い出した。「オケ老人」というのがそのタイトル。時間を調べるとナント夜の9時10分開演。てえことは、1時間前に出て郵便を出して、、、丁度良い時間と決心して帽子にマフラーにモヘアのカーディガンにと完全武装で出かけた。ところが外は全く寒くもなく、快適なお出かけ温度。従って予定通りスイスイと動く。
映画は、予想以上に面白かった。大体のあらすじは知ってはいたが、それにストーリーはありがちなサクセスものではあるが、それでも気持ちの良い涙が自然に流れた。要所要所に緊張をぷつんと切る笑いのネタがばらまかれ、つい吹き出して仕舞う。NHKの朝ドラでおなじみの女優、杏が、頑張れば頑張るほど笑ってしまうという面白いキャラクターで、多分他の人ではあの味は出せなかっただろうと思わせる。
笑いのネタは最後のテロップのバックに流れる音楽にも。ここで、あの曲を出してくるか!という驚き。この演出家、ただ者ではないなあ。
しかし、これほどにメッセージ性の高いストレートな作品も最近にはないものだ。「老い」に向き合う若者達の姿。結局いつかは老いる若者は、その老いを敬い、老いた人は、若者を受け入れる。そこから素晴らしい世界が開けるという、人生こそが交響曲の意味を込めた、最後の演奏曲がドボルザークの「新世界」。しかもその演奏会の最中、雷雨と共にあるハプニングが。初めは指揮を見ることすら出来なかった人たちだ。それが今や、指揮をしっかりと見て、何が起きようと心を一つに見事な演奏をするというハッピーエンド。
この映画を観たメンバーが、「まるで、ちぇちを映画にしたようでした。」と言っていたが、ある意味それはそうだろうと思った。老いた人も若い人も共にという点で。しかし長い練習期間の中ですっかり暗譜が出来ている老人達、という点で負けてはいるなあ!
結局この映画の中に重奏低音の様に流れているのは、「老い」であり、「寂しさ」だ。しかし、その全てを受け入れて、悠然と「愛」を語る素晴らしい映画だった。
実は行く前にもテレビを見てさんざん涙した後だった。
あの東日本大震災の記録だった。生死を分けた対応がその番組の趣旨ではあったが、体育館の上の階に上って助かった人々。下の階にはまるで洗濯機のように渦巻く津波の侵入があり、上からそれをみんなが固唾を飲んで見下ろして絶望的になっていた時、一人の女学生が校歌を歌い始めたという。そこがたまたま学校の体育館だったせいもあるかも知れない。壁には校歌が書かれた額がつるされていた。そして段々歌の輪が拡がり、ようやくみんなが言葉を出して励まし合うようになれた、という。
校歌というものは、殆どが未来を歌い、希望を歌っている。確かにその場に一番相応しい歌だったかも知れない。この番組は、あの記憶を生々しく思い出させる。今朝の地震を思えば、こうした番組は是非とも続けて、忘れっぽい人間への警鐘となって欲しいものだ。
昼間はカーブスで汗を流し、夕方から夜はこうしてたっぷり涙を流した。ちょっと、ひからびた感があるなあ~。