予期せぬ一日。
この好天気に、矢張り布団を干したり、洗濯をしたりと当たり前の主婦をやり、仕事やレッスンも終えて時間を見ると母がデイサービスから帰る時間。ちょいとショッピングでも連れ出そうかと迎えに行くと、施設の人が、こないだ映画に行き損なったんですか?何度も観たい映画が観られなかったっておっしゃってますが、、、、う。そうですか。今から連れて行きます。。。。
確かに一度チャレンジしようとしたが、体調が思わしくなく、映画さえ行けなかったのを思い出す。こりゃあ行くしか無いとうっかり時間を調べずに出かけると、わざわざ車椅子を回したにもかかわらず2時間以上の待ち時間がある。近頃映画の上映時間もめまぐるしく変わるようだ。急遽、高松東から出て、ドライブを兼ねて綾川まで。早めの夕食を済ませて、遂にお目当ての映画を観る。
「母と暮らせば」
悲しい、非常に悲しい映画だった。
山田洋次監督の作品らしい、穏やかでしみじみとした映画の作り。地味だが、登場人物の心理状態を克明に描く。ここまで悲しみを描ききるのは、監督に余程の思い入れがあったのか?と最後の最後までじっと画面を見ていると、一番最後に、「井上ひさしさんに感謝を込めて。」だったか、の文章が。帰宅してネットで見ると、やっぱり井上ひさし氏が書きたかったものを、その意志を継承して映画化したのだそうだ。
母親役の吉永小百合の演技に思わず、一瞬声が出るほどの悲しみを覚えた。過去に見たこの女優のどの作品よりも良かった様に思う。この映画のおそらくは最も大切な場面を、演じきった。その場面が無ければフツウのエレジーだったと思うが、その一点の演技によって、この作品全体が大きな意味を持った。
全編を通して美しい音楽。悲しみの表現としてはこれほど画面とマッチした音楽も無いだろうと思いつつ、最後の字幕を見てナットク。坂本龍一だった。
とにかく全く情報を知らず出かけたため、純粋に映画を観た、という感じ。母も食い入るように画面に見入っている。後ろからは男女のすすり泣きが聞こえる。
日本に、こういう映画を作り続ける監督が居て、こういう力のある俳優達がいることが誇らしい。
思いがけず、舞台俳優の加藤健一が出ていてそれも楽しめた。
いやあ~、映画っていいですねえ~。さよならさよならさよなら。
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