二つの演奏会。
21,22日とオペレッタとコンサートがあり、体は二人分でも一つしか無く、ちぎるわけにも行かず仕方なくあっちもこっちも行く事とした。
「こうもり」は10年近く前に自分も歌ったが、はるか遠い昔の事のようだった。が、見ている内に段々舞台を創ったときのことがまざまざと思い出された。そういえばあの時作った刑務所の格子付きの部屋は良かったなあ。フロッシュが「黙れ」と叫んでヒモを引くと獄中でわめいてた囚人二人の前にバシャッと幕が下りてくる仕掛けは受けたなあ~。アイゼンシュタインと刑務所長が顔を見合わせてお互いにコップの飲み物を顔に吹きかけっこをするのも面白かった。,,,失敗談も思い出す。一幕で上着がなかなか着られないアイゼンシュタインが舞台に出られず、舞台に出ていた奥方と女中がありもしない台詞を延々と喋ったこと。あろうことか、フィナーレでオルロフスキーを歌うとき、自分がつけた前奏の中で喋る筈の台詞をかっ飛ばしていきなり歌ってしまったこと。。。そういえば、舞踏会で、白塗りの仮面をみんなに付けて貰うのに、「ぞれじゃあ顔が見えないからイヤ」とのたもうた豪傑が居たなあ~。
大勢が力を合わせて作っていくこのオペラ、オペレッタはホントに面白い。ただ見る側より、舞台に乗っかってる方が数段面白い。勿論緊張もするし、歌詞を覚えるのも大いに大変。いや、歌詞だけではない。動きや台詞、時にはダンスまでもが入ってくる。その上に歌唱力が要求される。
とんでもなく難しい事をやっているんだ、我々は。
でもだからこそ、やりがいもあるし、結局は頑張れるんだ。おそらくは、今回の出演者達も同じだろう。みんな美味しいビールを飲んだに違いない。
それにしても3時間半の椅子は辛かった!
もう一つの演奏会は、地元坂出で14回目となるコンサートをされたK女史のもの。おそらく、これまでのほぼ全部行ったと思う。よくぞ続けておられるとまずはそこに感心する。メジャーになると、地元を忘れる人が殆どなのに、「小さいときから知っているおじさんおばさんに、例え腰が曲がっても聴いて欲しい。」とこだわっているのだ。必ずしも響きの良い会場ではないが、しっかり手抜きせずに歌われる姿には感動した。若い教え子達も交えてのオペラの抜粋は、きっとその人達をも成長させたことだろう。
これも一つの行き方だ。
二つの演奏会を通して思った事。
どんな舞台も、「声」が全てを決定する。ということ。
そして、情熱の分量でこそ、観客は興奮させられるということ。出演者一人一人が持てる力を全て出し切ってこそ、観客は感動するんだ。