愛について、考えた日。
しばらく留守にするので、今日は母に大サービス。その中の一つに「映画鑑賞」がある。というのも別の用事でちょいと立ち寄った映画館前。しばらく見てないね、と話しつつスケジュールを見るとたまたま今まさしく始まろうとしている映画が、、、。大急ぎでトイレを済ませ、車椅子を押して真っ暗な場内へ。少し目が慣れて見ると相変わらずぱらぱらの人。丁度腰かけた途端にタイトルが出ると言う素晴らしさ。「愛を積む人」というのがその題名。
見終わって、どちらからともなく「良い映画だったね。」としみじみ感想を言うことが出来たのは、邦画で非常に分かり易い内容だったこともあるが、役者が上手い人ばかりで、説得力があったことが一番だろう。原作が外国人というのを見て、な~んだ、という部分もあったが、それにしてはよく日本の物語にしているなあ~とも思った。
この映画の中には色んな愛のお話しが出てくる。夫婦愛、親子愛、義理の親子愛、恋人達の愛、、、、。そして北海道の素敵な風景の中におそらくはセットだろうか、こじんまりした家があり、その家の主婦が外国のような石塀を家の周りに作って欲しいと、倒産して仕事のない夫にせがむ。あまりの熱心さにバイトの男の子と少しずつ始めるが、その子はなかなか心を閉ざして打ち解けない。夫婦はそれでもその子に何くれとなく親切にする。にもかかわらず、その子はある時悪友にそそのかされてその家に泥棒に入る手助けをしてしまう。留守の予定が突然帰宅した主婦は弾みで転倒し失神、入院したり、、、。その主婦良子は重い心臓病を患っていた。詳しいことを夫にも言わず、突然この世を去るが、愛妻の突然の死を乗り越えられず苦しむ夫に宛てた妻の手紙が至るところから出てくる。
この夫婦愛を軸に、様々な人間関係のもつれがほどけていく。それはまるで、愛が石に姿を変え、段々整っていくようなものだった。やがて、どうしようもないと思われた人々の確執は雪解けと共に新しい光を浴びて浄化され、石塀も完成する。
原作は「石を積む人」らしいが、愛の方が分かり安かっただろう。題名を決める苦労をその担当者が話しているのをテレビで見たことがあるが、確かにそうだろうなあ。
特に我が母は、父が存命の頃は鴛鴦夫婦で名高かった人だから、この手の映画には弱いはずだ。帰る道々車の中は父との思い出話ばかり。ま、こういう日があっても良いか。