長く家を離れていると、当然のことながら山のような仕事が待ち受けていて、一昨日の成田ショートステイが嘘のように思えてくる。
12日に高松を発ち、本当は一昨日の28日に帰宅予定だった。が、あまりの疲労からバカな間違いをしてしまって、まさかの成田一泊。思いがけず全く自由なホテル滞在となった。結果からいうと、これは神様からのプレゼント。ゆっくりお風呂に入って、たっぷりの睡眠。素晴らしいガーデンを眺めながら快適なモーニングを静かに一人で食べ、やって来たM夫人の車で近くの老舗カレー屋さんに。二人の可愛い子供達とだんだん距離が縮まっていくのを感じながら、成田空港の発着場が目の前に見える高台へと誘われ、晴天の空の下まったりとした時間を過ごす。
突然の「近くにオススメのお店無いですか?」のメールに、それならご一緒にお昼を、と気持ちよく出て来てくれた、これが元スチュワーデスのMさん。思いがけず空港まで付き合ってくれて、チェックインまで遣ってくれる。なんだか急にご厄介になった感のある私に、「いえいえ、しばらく職場を離れて少し恋しい気分でしたから、嬉しいです。」なんぞと優しいお言葉。実際、周辺の外国人が交わす会話に耳を傾けてる様子があって、成る程ねえ~。お仕事では毎日がこういう雰囲気だった訳で、育児に追われている現在、そういうことあるかもねえと妙に感心。ほんの数時間の付き合いだったが、なんとなく別れがたいチビちゃん達とも大きく手を振って機上の人となる。おまけの時間にしては予想外に充実。
で、何故飛行機に乗り遅れたか。
東京の孫べえが、すっかりなついてしまって、帰り支度もままならない有様。必死で振り払ってマンションを後にした時点で疲労困憊。なんか頭がもうろうとしてスマホの路線図が頭に入らない。娘からの忠告、「成田は難しいから慎重にね。」は後から思い出すも、この時点ではまあ何とかなるだろうと高をくくっていた。ところが、途中下車した駅で、スマホには降りた次の次の電車に乗るよう指示が出ている。念のため駅員さんに確認までしたにもかかわらず、ホンの少しスマホを見ているときに入って来た電車に何も考えず乗ってしまった。間違いに気付くタイミングも悪かった。あっと思って下りたところに停まる特急は30分もあとだった。これはもう絶対に乗り遅れると観念して、お嬢の怒りの顔を思い浮かべながらスマホメールで遠隔操作。「すぐに下記の状況を電話でチェックインカウンターに連絡して!」「でもって、あと15分で制限時間。」「明日の便が取れるかどうかも調べて。」と矢継ぎ早。当然のことながらお嬢からのメールには、「ぎょっ」てな言葉が。それでも大急ぎで遣ってはくれたがどうにもならず、結局はサービスカウンターまでたどり着く。勿論飛行機は30分前に出た後。
息子は翌日朝早くから家族で出かける予定だし、お嬢から再び戻れと言われてもその気分にはなれず、ええい、いっそ大阪にでも飛んでみるか、と友人Kに電話すると、「おいでおいで、絶対おいでよ!」と言ってくれる。が、これはザンネンながら満席で取れず、結局は翌日の同時刻の便に相成った次第。Kは新幹線で、と言ってくれたが、ジェットスターは便が変更になっても追加料金は必要ないので、ま、今回は成田初体験するわ、となる。
これがよく考えると素晴らしい疲労回復材。いくつかの予定をキャンセルして、一日旅と子守の疲れを癒やすこととしたのは大正解。この一日が無かったら今日のアチクシは使いものにならなかったに違いない。
大きな荷物が4個も届いていて、それぞれ荷ほどきをしておくべきところへ納めたり、洗濯したり、すっかり様変わりしている台所を整えたり、東京で受けた予約客を受け入れたり、デイサービスから帰った母を早速ケア、帰りが遅いという夫の帰宅までに二人で外食して旅の報告だ。そして半月の間にどろどろになった吾が愛車の洗車にガソリンスタンドへ。ここでも母と話しが尽きない。随分と帰りを待ってくれていたらしい母は、終始にこやかで、ついにはスカイプで孫べえと話すという。その様子を珍しそうに見ていた店員さんが、「テレビ電話ですか?」と我々に驚いている。驚かれる年齢だということだ。
成田のホテルで面白いことがあった。
エレベーターに乗り込むと、二人の白人の若者が同乗していた。続いて別の階でもう一人別の国の人らしき白人の青年が乗ってきた。やがて1階に着いたとおぼしきとき、誰も動かないので、えっ?まだ1階じゃないの?と一人言を言って後ろを見ると一人の若者が目配せをしてどうぞという感じ。あっ、と小さく「サンキュー」と言いつつ一番に外へ出たが、いやあ~、参った。アノヒトタチは当たり前なんだ。絶対レディファーストなんだ。と改めて国民性を思ったことだ。
旅は面白いことが沢山あるなあ。