今夜は久しぶりに観劇となった。体調がイマイチで行きたくなかったが、お当番との知らせに受け付けをやるために出かけた。行って見れば顔見知りが沢山。あっちこっちから声をかけられ早速宣伝活動に入る。
さて、今宵はとっても良い芝居に出会った。どちらかというと地味な作品だが、悲しいお話しでもないのにじわっと涙が溢れ、感動している自分に気付く。2時間ノンストップと聞いたときはゲッと思ったが、あっという間に終わった感がある。帰りの車も何となくうきうきと気分が良く、その気分は家に帰って夫の顔を見ても続いていて、家事も捗ったという次第。やっぱりたまには観劇も良いなあ~。
内容は簡単。小さな町工場の社長が倒れ、急遽火の車状態の会社を仕切ることとなった中年の男。会社勤めを辞めてナントか頑張るつもりが、父親の存在が大きすぎて社員を束ねられない。大会社のように合理化をやろうとしてもやることなすこと空振りで、イライラしては妻に当たり散らし妻は実家に、息子には家出をされる。八方ふさがりの彼を救ったのは、誰でもない、自分自身だった。父親から、「お前は何の為に仕事をしてるんだ。」という問いかけに答えられないが、ふと昔を思い出し、親友と交わした「一緒に良い仕事やろうぜ」という言葉を思い出す。良い仕事とは何かと自問する内に大切にするべきものに気付く。そして彼が本来の仕事に打ち込み始めると社員もその姿に段々心を開いていくようになり、全員の心が一つになったとき、自然に会社の業績も上向いていく。そうした中家族も元の形に、、、。
ま、ありがちなストーリーではあるが、筋に重きを置いてない作品の作り方で成功したと思う。それぞれの細やかな感情をしっかり描くことで、いわゆる起承転結が気にならない。どのシーンを切り取ってもそこにドラマがある。実際、エピソード毎に暗転になり、屋根の「奥田製作所」という看板だけが浮かび上がる仕組み。本来暗転にする必要が無いものを、わざわざそうしたところが面白い。これは色んな効果を生んだと思う。
このお芝居に一貫して流れていたのは、「パッション」だ。役者が本当に真剣で、懸命だった。そこに倒れた社長役の鈴木瑞穂が演劇会の重鎮らしくど~んと現れる。この人が出て来ただけで、芝居全体が引き締まるから不思議だ。
やっぱり舞台芸術は良いなあ~。
ところが、始まる前にチョイとしたハプニングが。
前から4列目というフラットな座席での観劇だったが、この席はあまりよろしくない。どうしても前の人の頭が気になってしまう。自分もそうだろうと思って、帽子を脱いでの観賞となったが、すぐ前の方は座高が高く、我が身の不運を少し嘆いたもんだ。が、その前の方に素晴らしく広いつばの優雅なお帽子の女性が一人鎮座ましましている。高そうな眼鏡フレームもイヤリングもきちっとしたお洋服も、もしや出演者が何かの意味があって客席に紛れ込んでいるのか?と疑う程に決めていた。が、当然その後ろに居る人々にとっては大迷惑。開演前に数人があれこれ相談しつつ聞こえるようにその帽子を話題にしているが、当のご本人は一向に反応せず。業を煮やした真後ろの人が思い切って(そう見えた)前の女性の肩をつつく。どうやら帽子を脱いで下さいと直接交渉に出た様だ。ところが、その女性は全身で「ノー」の姿勢。しかも私だって前の人が邪魔だわよ、てなことを言ってるようだった。結局後ろの人は諦めて、、、、だが、面白いことに私自身は芝居が始まる前にあれ程気になっていたものが全く気にならなかった。結局自宅でテレビを見るようなわけにはいかないってことで、それも慣れてしまうってことだ。
昼間はメンバーと衣装の調達と舞台で使うインテリアの購入に出かけた。この頃そういうことに慣れてきて、お目当てものがぱっぱっと決まり、お陰で余った時間で少しばかりお昼寝をし、夕飯は炊き込みご飯など整えて出かけることが出来たのはメデタイ。時間を上手く使えたときは気分が良いもんだわい。
明日もあれとこれとあれと、あっちとそっちとこっちだ。ふ~っ。ガンバロウ。今日のお芝居でエネルギーを貰ったもんねえ。