先生が逝かれてまだ1週間しか経ってないのが嘘のような気がする。あるいはもう1週間も経ってしまった、とも思えたり、、、、。「時間は人によって過ぎ方が違う」とはシェイクスピアの言葉。私の場合まだ本当の意味での実感を伴わないので、日々時の流れが変化しているのかも知れない。
こうした中で今日は疲労感から逡巡していたが思い切って岡山までコンサートに出かけた。当然行き帰りは爆睡。行きはそれでも短歌の一首も詠もうという気になって一度は手帳を取り出したが、いつの間にかバッグに仕舞い、瀬戸大橋を渡ったまでは記憶にあるが、そのアトがいきなり岡山駅だった。雨のせいもあってタクシーでホールへ。
岡山というところは路面電車が通っていて何となくレトロな感じ。だがとても道路が混んでいて、優先の電車までが側にやってくるので、タクシーの運転手さんが気にしてくれている。と、その時、「いやあ~驚きましたねえ、電車の運転手さんが先に行けなんか、長年やって来たけど今まで一度も無かったですよ~、不思議なことがあるもんですねえ~」と言いいながら電車の前でハンドルを切る。、、、それって、そんなに珍しい事なんだ~~とぼんやり相づちを打ちながら礼を言って降りた途端小銭入れからバラばらっと小銭が落ちてしまう。降りてきそうな運転手さんに、「大丈夫です。自分でやれますから」と断って、水たまりになったアスファルトの上の小銭を拾う。。。。かなりボンヤリしているなあ。
と思って歩き始めると、間が悪い時はこうなるもんで、携帯の充電が切れてます~と警告音が。そうか、夕べは久しぶりに自分の家に帰って寝たから、実家に忘れてきた充電器のことも忘れてたんだ。
シンフォニーホールは昔から思うんだけど、とっても合理的な設計になっていて、エスカレーターなんかも一人ずつしか上がり下りできず、それがとても狭い。座席も私より少し太い人は絶対お尻が入らないだろうと思う程狭い(?)。快適と、そう思えないというすれすれの所で処理されていると思う。これで結構とは思うが。
ロビーで携帯の充電が出来る場所が無いかと聞いているとき、通り過ぎようとする一人の女性。あらま、お久しぶり~。そういえばアナタもご存じのI先生が亡くなられたのよ。と言うと瞬間固まってしまう。Aさんはそういえば先生と一緒に食事もしたなあ~。チケットは通りすがりに買ったんです~というから、これもご縁だねえ~。
彼女も私も本日のお目当てはわがサロンコンサートでもいつも華やかな歌声を披露してくれているソプラノYさんであった。大曲に真っ向勝負の心意気にまず感動。フルオケを従え堂々と歌うその姿に思わず拍手。デザイナーでもある彼女は、ご自分が二十歳の時に来た振り袖をドレスに作り直したのが大成功。あのデザインは良いなあ~。あそこもあそこも隠せるしなあ~。なんちゃって。演奏後に指揮者が握手を求めたのは何より彼女の歌が良かった証拠だろう。いつも、チャレンジ精神を失わず、自分を高見へと追い込んでいくその姿に、そりゃあ、旦那さまが惚れるのも無理はない。終演後にご夫妻と写真に収まったが、本心は写りたくないな~、どうせヒドイ顔してるんだろうしねえ~、いや、まあ、いつもだからそれは良いんだけど~、ともごもご思っていると、「ハイ、もう一枚!」とやられてしまう。ふ~っ。
休憩中には、椅子から立ち上がれないでまったりしていると後ろから声が飛んでくる。ありゃりゃ~、岡山のKさんとNさん。「こうもり」でちぇちの舞台を務めてくれた人達だ。「誰か来てるかなあ?と見回してるとまさかの蓮井さんを見つけたんで、ビックリして飛んできました。」とKさん。「見つけたらい眠ってる人がいた、って言いたいんでしょう!?」と私。みんなで笑って、、、Kさんはあれからだと随分ぽっちゃり。先生のご逝去に話題が行くが立ち話も出来ず結局終わってからお茶しながらになった。
喫茶店ではこの日の感想も交えて懐かしい昔の事など話しながら、思わず「音楽は人をつなぐんですねえ」とI先生のお言葉を口にしていた私。
そういえば、あちこちから連絡を貰ってないとか、知らなかったとお叱りを受けている。正直、これでも必死でやったつもりなんだけどねえ~。確かに、まあ、漏れているわなあ~。
ゴメンね先生。