試練の伊勢参り。
祈る心がどんな人にも(おそらく)あるという証拠のように、お伊勢参りは人人人の大混雑。全く何もないと言っていいこの場所に、これだけの人が集まるという不思議。とりあえず行っておけば何か御利益があるというその程度の人も多いだろうが、どこかで、そんな小さい人間どもを大きな心で受け入れて下さるのでは?という都合の良い甘えの感情もあるだろう。
半世紀前に参拝して以来のことで、全く初めてと変わらないが、神宮の周辺で小さく色んな商売を営んでいるおびただしいお店が珍しかった。その名も「おかげ横町」といい、どうやらお伊勢様の御利益によって生かされているという意味らしいが、その通りだろうなあ。「おかげ様」という言葉はホントに良い響きだ。現地限定の「おかげさま」という名前のお酒まで売っていた。
友人Kと歩いているとどこかか太鼓の音が聞こえるのでつられて行って見ると、イケメンのお兄さん二人が凛々しくもバチをふるっている。ひとしきり聞き惚れて、バスの集合時間もあるから次なる興味の対象へと移動。そこはどうやら昔の芝居小屋を再建しているらしく、おりからの風にのぼりがはためいていた。少し歩くとレトロな喫茶店があり、さっき食べたアカフクの口直しがしたくてコーヒーを飲む。落ち着いて話しをする時間が無く、そこもそそくさと出て、今度はひたすらバスまで30分ほど歩く。、、、いやはや、今回はメチャクチャ歩く旅となった。こういう旅が出来るまでに自分自身が快復したことが嬉しかった。
もっとも、昨夜はなばなの里なるところで、光の芸術とでもいうべき素晴らしいイルミネーションを見るために広い庭園を歩き回ったため、流石にホテルに入って膝に痛みが来て、足のマッサージをしてもらったり、睡眠導入剤を飲んで寝たりはあったが、途中で歩けなくなることはなかったのはメデタイことだ。多少の無理は必要なんだ。
それはともかく、今日は最悪の日となったのだが、まずは朝食。二人部屋でゆっくり同じペースのKとともに起きて朝風呂に入り着替え、ぼちぼちモーニングに行こうかと出かけ、あとの4人と食堂ですれ違いざまオハヨウの挨拶。そこそこの朝食を採り部屋に帰る。すると、Kが怪訝そうにわがパンツをたたんでいる。「これ履くの?持ってくの?」と言われてフト見ると、にゃにゃんと、はいてるとばかり思っていたパンツがそこにある。てえことは、あたしゃ防寒のための分厚いタイツとレッグウオーマーと靴下姿で朝食をとったことになる!「ぎゃあ~っ!」と叫んだが、Kは涼しい顔で、「別に~、おかしくなかったよ!そんなもん、わからへんわ、そんなもんやと思てくれはるわ。」と慰めともなんともつかない言葉。そういえば、友人達も何も気がつかなかったんだから、そうなのか、と胸をなで下ろすも、自分的にはかなりショック。
でもって、そのまま下へ降りて、フロントで用事を済ませバスに乗って20分ほどでハタと携帯が無いことに気付く。あっちゃ~、そういえば化粧室に持って入ってそのまま持たずにでたわいなあ~!と思い出せども時既に遅し。Kがホテルに電話しろと言うので彼女の携帯で連絡、折り返し「あったので送ります」との返事を貰ってやれややれ。今日は携帯の呪縛から逃れ、気楽と言えば気楽な時間を過ごすこととなった。
もう一つの最悪は、実はこれが一番でかい!
行くときにバスに乗り合わせてきた6人組が、はんぱじゃなく喧しい人たち。昨日は少し席が離れていたので、うるさいわねえ~ぐらいで済んでいたのが、ナント今朝バスに乗ってみるとスグ後ろにその6人がおわします状態。うわ~これはやばいなあ~と思っていたら、予想以上に凄い!!大きな声で喋る、笑う、叫ぶ、悪態をつく、etc。話の内容は下品で聞くに耐えない。おしまいには集合時間に遅れたことを注意された添乗員さんのことをみそかすに言い、「添乗員に言うてやったんよ!あんた、この仕事に向いてないから他の仕事探した方がええよ!ガハハハ」、、、いやあ~参った。うつらうつらバスに身を任せて眠っていても、もの凄い大音量の笑い声で起こされる。大阪から合流していた友人Kはもうこれ以上あの連中とは一緒に居たくないからと、伊勢から電車で帰ってしまった。全くこれは我々にとって記録的な事件だ。あんな女性が存在するなんて信じられない。
高松に帰って、Sの車に乗った途端、全員がホッとして、「これもある意味印象深い旅だったねえ」と笑いあったことだ。ふ~っ。これもお伊勢さんの試練か。
疲れた。
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