男の涙。
昨日はOさんの結婚式。ほんものに拘ってだろう護国神社での挙式は、折からの天候に恵まれて真っ青な秋空の下、雅楽の調べに乗って粛々と進められた。こうしてみると日本の伝統的な白無垢と神社は、厳かで挙式に相応しいものだ。何故か我が子達も二人とも神社だったが、確かに若い人にもこのゆかしさは理解できるんだろうなあ。
そこでの30分立ちっぱなしがチト辛かったが、同行の二人が勧めてくれてぺったん靴にしてたので助かった。そこからレトロな会館へと移動、まるで大正時代に逆戻りしたような雰囲気で、披露宴は始まった。
主賓の挨拶なんぞという大役を何故かおおせつかって、歌うより緊張したもんだ。「祝婚歌」という詩の朗読で何とか切り抜けたが、、、。ふ~っ。
あまり若くない二人だからか、大変落ち着いた雰囲気の二人。中でも新婦の落ち着きぶりには目を見張る物があった。新郎が感極まって涙にくれるのを、優しく肩をなでてあげながら慰めるの図なんかは、まるで長く連れ添った奥様みたいな、、、!同じ年齢だと、どうしても女性が年上のような感じになるなあ~。たまたまお隣に座った某大学の准教授さんは、「実は僕も自分の時うるうる来ちゃったんです~」と告白。「まあ、そうですか!?」と返事していると、そのお隣の女性も、「最近男性がよく泣くんですよねえ~」とのたまう。
つらつら考えるに、昔は、「女三界に家無し」と言われたように、結婚はある種の決意が求められたし、実家からの独立を意味していた。「一度嫁いだら決して実家の敷居はまたぐな」が、その頃の嫁入り前の娘へのはなむけの言葉だったのだ。だから、両親や家族との別れも結婚にはつきもので、それがお嫁さんの涙の一つの理由となっていたのだ。ところが、今や離婚は恥ずかしいことでも、ましてや悪でもない。嫌なことがあれば、とっとと帰れば良い。嫁いだからと言って、実家と縁が切れたわけでもない。子供数の少ない昨今、いつまでも親子の縁は太いまま。「いつでも帰っておいで」が、今やはなむけの言葉らしい。となると、べつにお嫁さんになることが悲しいことであろう筈がない。キレイな衣装を身につけて、その日ばかりはどんな女性も晴れやかな主役となる。ただ今愛している愛されている男性に堂々と寄り添い、愛情を表現すればするほど周囲から絶賛されて、最高に幸せ!、、、涙なんか出るはずがない。てなところだろうか。
じゃあ、男性の涙はどうして?と考える時、これは感動か?大きな人生の節目に、それまでの自由と引き替えに「家庭を構える」ことの重圧に、経験したことのない感動が彼らを襲うのだろうか。大海原に船出する人のように、、、、。
それはともかく、披露宴においては、今回がそうだったように新郎の同窓生が盛り上げることが多く、「仲間」の祝福が一番好感が持てる。肩を組んで校歌など歌う彼らは「生涯の友」なんだろうと思わせる。お互いに良いときも悪いときも分かち合ってきたんだろうと思う。彼らの投げる言葉に感激しての涙がきっかけだったから。一度切れた涙腺はアルコールも手伝って、歯止めが利かなくなったようだが、こういうのは良いなあ~。ホントに可愛い。
二人で「トゥナイト」を歌うときの新郎の幸せそうな顔が忘れられない。末永く、良い夫婦であって欲しいなあ~、このカップル!
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