なりきることの大切さ。
今日は初めて常連出演者のコメディアンMさんが練習に加わった。さすが~の空気創りだ。この、「日常からすぐ抜け出る」のが、 資質というか、訓練だろう。彼女を初めて見たM氏は心底尊敬したらしい。凄いを連発していた。
要するに演技とは、別に何歩歩くとか、ここで右手を挙げて下げて顔をこうしてああして、という段取りではない。演じるとは、 その役になりきることである。自分ではない、その人になると、その人はここでどうするか?自分とは違う歴史を持ち、違う人生を生きていて、 違う人間関係や家庭環境を持つその人物が、こういうときどうするか、それを考えることである。
例えばロザリンデ。夫のお陰でお金には困らない裕福な暮らし。女中もいるし、毎日美しく着飾って、 シワの数を少しでも減らす事に専念していれば良い生活。でも、若い頃は○○小町と呼ばれるほどの美人で、よくもてたのに、 今はアル意味囚われの身。断っても断っても言い寄るアルフレードという軽薄な男がいるけど、本命はもっと格好いい人だった。でも今は、 この程度の男でもまあしばしの慰めにはなるわ、、、、な~んてこと考えている若くない女性。 過ぎ去った若い頃を懐古してもあの頃はもう帰ってこないことを嫌と言うほど分かっている。、、、などなど。
例えばピエロ。もしかしたら顔をいつも白塗りして、おどけた格好をしているけど、実は案外実生活は悲しいのかも知れない。 (そういう話は、オペラの道化師にもある)だからこそ、顔を隠して心も隠していつもおどけている。人の喜ぶ顔を見て、 自分を奮い立たせているかも知れない。顔が無いから何でも出来る。恥ずかしいなんてことおくびにも出さない。 そうやって何もかも笑い飛ばして見せるんだ、、、、などなど。
例えばパーティ会場の客。昔は栄華を極めた貴族の一門だったけど、今は落ちぶれてろくな暮らしをしていない。 今日はホントに久しぶりに豪華なパーティに誘って貰って、思いっきりおしゃれをしてきたわ。どうかしら?私ってきれい? 誰も私を見てないようだから、もっと側へ、、、、あら、あの人ったらそういえば、うちの遠縁の人だわ。何だか私より豪華に見えるけど、 私の方が、、、大丈夫よね?それにしてもここのワインは美味だわ~、、、。流石ねえ。あらら、そんなことよりあの男性ステキねえ、、、。 ちょっと声かけてみようかしら?酔った勢いでね、、、、とか。
舞台に立って、自分がどんな人になっているのか。それをしっかり組み立てて欲しい。その作業は楽しいものの筈だ。 別人になるってこと程面白いことはない。変身願望は誰にでもあるんだから。私がやっている演技指導は、ヒントを上げているだけなんだから、 それをいっぱい膨らませて欲しいなあ~。
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