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2007年2月17日 (土)

広島小旅行。

 今朝は朝も早くから高速バスで広島だった。昨夜訳ありで完全な睡眠不足となっていたが、バスの中ではずいぶんと挽回出来た。 酔い止めを飲んでいたのでバスの振動は心地良いばかり。気が付けばトイレ休憩、又気が付けば目的地~ってな具合だった。 バスターミナルにあるデパートで時間をつぶし、広島に来たからにはと広島焼きを食べ、 本日の一番の目的のA女史のシャンソンリサイタルへとタクシーだ。雨の中、かなりの行列が出来ている。予想よりは結構若人が多いかな? 会場はほの暗くバーなんかが充実している、本格的シャンソニエスタイルの会場。ジャズやポップスなんかもよくライブが行われるらしい。 やがて始まった彼女のステージは素晴らしくパワフルで、トークもとっても面白く才能に溢れている。900曲ものレパートリーがあるというが、 どの曲も全部覚えていていつでも歌えると言うから凄い。一緒に行った友人Yに「あんた、1曲を半年もかけて覚える人、どうなの?」 と囁いたもんだ。「反省してます~!」と言いながら、あれは反省してないなきっと。ま、人ごとではない。

 歌ったのは全部で21曲。中でも私の目尻から熱いものが流れたのは、「帰りこぬ青春」という曲の時だった。歌詞もさることながら、 彼女の歌声に得も言われぬ情感がこもり、 過ぎ去った青春の時をさも愛しげに柔らかな大きな布でくるむように歌うのには自然に涙が溢れたものだ。誰にでもあった青春時代、 二度と取り返せない輝く日々を、時に激しく、時に静かな諦観をもって、彼女は声で描き切った。全くお見事!

 この人のお得意は歌の中でお芝居をすることだ。コミカルなものは特に上手い。これにはかなり天性の気性が働いているようだ。 そしてミュージカル畑で長い間活躍しているというキャリアもそれに磨きをかけただろう。観客を笑わせたり泣かせたり、 深刻にしたりゆったりさせたり、、、、自由自在に操っている。観客は操られる快感に酔う。 日本にいてなかなかこういう舞台にお目にかかることは少ない。

 では、欠点がないかというと、まるっきり無いわけではない。ある人が以前指摘したようにビブラートが多すぎるきらいはある。 それが気になり始めるととことん気になり、歌が楽しめない、とその人は言う。ま、確かにそれは在るかも知れないと、私も思う。 これは想像だが、年齢が高くなってくると支えが弱くなってきて、フレーズを伸ばすのに圧が足りなくなることから来ているのではないか? しかし、おそらくあれだけの大物になると、そういうことを指摘する人が居なくなるのだろう、とは思う。 他にも確かにいくつかの発声的な弱点を感じなくもない。しかし、これはテクニックの部分だが、「歌」というのはそう簡単なものではない。

 今日の彼女のリサイタルは、彼女の情熱とパワーと訴える力で、それらの全ての欠点を明らかにカバーしていた。明瞭な言葉、 しっかりした音程、自在に操る声の魅力が、聴く人の胸に大きな何かを注ぎ込んだ。、、、歌は、テクニックだけでは歌ではない。 再びこの人の歌を聴きたいと、多くの人が思っただろう今日のステージが、その歌の本質を物語っている。、、、歌って、 ホントに面白く難しいなあ~。

 同行のシャンソン教室のメンバー達4人共々口々に感想を述べ合いながらちょっと早めの夕食。それぞれに得る物があったようで、 わざわざ出かけた甲斐があったというものだ。一番の収穫は、全員が「感動した」という点だ。 この時ある人が言ったように年取ると段々感動しなくなるのは事実。 歌を歌うからには、心が動かなくてはいけない。で、 歳と共に心を動かすのにはそれなりの努力も必要になってくる。本を読む、絵を見る、歌を聴く、旅をする、映画や舞台、等々、、、。 今日はその意味でとても収穫があったということだ。

 岡山へ帰る人Mと高松組はバスの時刻が違うからじゃ又ね!と分かれてからよくよく時刻を見てみると、 誰かがすっかり勘違いしていて出発まで未だ大分間がある。待合室でバスを待っているとMと再会。「乗り遅れちゃった!」 と言うとっさの私のウソに驚くMを囲んでの大笑いに、狭くて満室の待合室が揺れたもんだ。ったく、群れをなすとみんな傍若無人になるもんだ。 明らかにやかましいなぁと迷惑顔のおじさんの前、今日もおばたりあん達は元気だったのだ!フフフ。

 帰りのバスでも爆睡。バスの旅ってラクチンで良かったなあ~。

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