今日は面白い一日だった。
本日2回目の「魔笛」公演に県外から来られると言う知人とそのお連れ4人、クレメントでランチ。これがバイキングで、用心したにもかかわらず「食べ過ぎ!」何せお相手は若き声楽家、ピアニストといった人たちで、独りで4人を相手にしたのだから無理もない、って、ゆうじゃな〜い!?別に相手をするこたあないんだよねえ、アンタ!ざんね〜ん!てなもんだ。だって、若い子が折角取ってきてくれたスイーツもコーヒーもやっぱ初対面だし、世の中お付き合い、ってこともあるわけさ!フフフ。それに、こと音楽談義の中で、食事が進まないわけがない。全員過剰満足したというわけだ。
でもって、オペラに行くという彼女たちと別れて、サンポートの国際会議場へと場所移動。本日は宮本亜門氏の講演があり、入手困難なチケットを親切な方が取ってくれて、行けばこれまた友人達が席まで取ってくれている。有り難やと座ったが、当然のことながら満腹のため一瞬睡魔が、、、しか〜し、彼の話しは面白くて、知らぬ間に引き込まれていた。本人も最初に断ったように、別にたいしたことを喋るわけではない。殆ど自分の生い立ちから半生を話し、現在の沖縄の住まいについてあれこれ話しただけだったが、話術が巧みで、彼自体が演出家と言うよりまるで芸人だ。400人以上は居たらしい殆ど中年の方々が、彼の思うがママ右へ左へと揺れてしまう。私も一筋涙が流れる場面もあったし、あとでお茶した友人も泣けたねえ、と述懐していたことだ。偶然にもちょっと前、彼の演出の「イントゥーザウッド」というミュージカルを神戸に見に行った折、楽屋に行こうとして、予期せず初日打ち上げの場面に行きあわしてしまい、彼とか小堺○○とか高畑敦子とかのスピーチを聞いてしまったが、その時のウイットに富んだ話しぶりが想い出された。今年は亜門さんに縁があるなあ。前から画廊の経営者Tさんの麻雀仲間だとは聞いていたが、まだプライベートでは会えていない。その内会えるかも知れないから、今日の話しも覚えておかなくちゃ、、、と言うのも以前池田満寿夫さんに初めてお会いした時、彼がいきなり芥川賞を取った「エーゲ海に捧ぐ」を「私読みました!」と得意げに言ったところ、「あ、そうですか!?奥さん何処が良かったですか?」と突然質問されて、心の準備が無く、しどろもどろになったことがあるからだ。実際読んでいたんだけど、そんなに急に想い出せと言われても、、、と胸の中でぶつぶつ、、。今想い出してもかっこわる〜。だった。そんなことがないよう、今日の「彼が生まれたのは新橋演舞場の前の喫茶店をしていた両親から、産院は先頃話題の愛○○病院だ。小さい頃から芸者衆に囲まれていて、幼稚園の頃にはある芸者さんの白いうなじに実際惚れていた、というから早熟だ。母親を亡くしたときは父親と二人肩寄せ合って暮らし、永く母親の着物を巻いた枕の取り合いをして偲んでいたということ」等々、覚えてられるかなあ〜、、。
彼の話で面白いと思ったのが、「良いモノは何処へ行っても良いというのは、嘘だ!」という話し。彼がNYブロードウエーで自分の作品を披露しようとした時のことを例に挙げ、その国の独特の文化や歴史の中で、受け入れられるものやそうでないものがあるのは当然だと言う。ま、彼も世界で認められるには苦労があったと言うことだろう。
彼の話が面白かった理由は、全て彼の体験から出たことだったからだろう。面白いことを言って笑わせるが、確かに話術は巧みだが、全てが、ホントにあったこと、体験したことだからこその迫力なのだ。会場から質問を受けたが、ある年配の女性が不意に「ふおっふおっふおっ」と笑ったのを、「良いですねえ、その笑い方。僕、次にそれ芝居で使わせて頂きます」と言って会場を沸かせていた。それもきっと本音ではないか!?
なにしろ、魅力的な人だった。
帰りに又今日のことを反芻すべく、絵を描く人たちとお茶タイム。クレメントのティールームは日が刺してやや暑い位だったが、おいしいグレープフルーツジュースを時間をかけて飲みながらたっぷりとお喋り。最近ヌードを描いてるという彼女達から際どい話しも出たり、音楽の事、文学の事、演劇の事、旅行のこと、その内の一人の生い立ちが全然知らなかったが、旅館のお嬢さんで、もしかしたら女将になってたかも知れないなんぞと聞かされてビックリしたり、、、。兎に角話題には事欠かないのだ。しかし、流石にみんな主婦だ。もう帰ろう!と腰を上げたら5時前だ。私も急いで買い物をして帰ったが、お昼のランチが未だ残っていて、全然食欲が湧かない。夫だけにステーキで、私はぼそぼそ豆乳シチューだ。これ実は今朝テレビでやってたんだが、お腹が一杯でもかなり美味しかったなあ〜、ゲップ。
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