秘密。
今日は同窓会の打ち合わせもありで、同窓生で呉服屋をやっているO氏のお店を訪ねた。かねてからバーゲンの案内も貰っていて、まあ、ちらっと目の保養もするつもりではあった。しかし入店してから10分後には(私にとっては)もの凄いお買い物を決意していた。これはある種の出会いだと思う。私はその反物に出会ってしまったのだ。ヤバイとその着物から逃げようとしたがどうにもこうにも逃げられない。外見は勿論そんなことはおくびにも出さず、「買えない」「興味ない」「「お金がない」「体型が体型だから着物は似合わないのよ」を言い続けていたが、そこに社長を呼んで値段の交渉の結果、清水の舞台から飛び降りた!先日旅行から帰ったばかりでこの贅沢!と反省しても見るが、一方で「自分の着物なんて買うの何年ぶりよ?」「今年は還暦の祝いなんだから良いじゃん!?」「一生懸命働いて来て、こんなの一つも買えない人生なんて!」と段々大義名分が浮かんでくる。私にしては不思議な事だ。ち〜っとも罪悪感がない。まるで私のためにそこに在ったみたいな好みの着物。これを来て同窓会に出かける決心をする。O氏がしきりに赤いチャンチャンコを貸すと言うのをお断りして、ちょっとアイデアのある着方をすることに。だから、本当は着物は好きなのよねえ。今時に合った着方を来客にはお勧めして喜ばれて居るんだから、自分もやってみよう、、、〜と夢が膨らむ。いやはやいやはや、、、外国から帰って急に日本人になったみたい。勿論同窓会の相談も明るい方向で彼が請け合ってくれたので、来た甲斐があった。
しか〜し、やっぱり夫には秘密にしとこう。彼の平和な頭脳をこんな事で悩ますのは悪いから。だって、買ってしまったんだし、「くそ〜っ」と思うだけでも気分が悪いでしょうから、ここはそれ親心で。いや、妻心で。平和が一番。せめて本日の夕飯は京風の手の込んだ物に。すると何も知らず気分良さそう。「おかずが多いからご飯はいい」とご機嫌なのだ。これで良い。
メトロポリタン歌劇場で「トスカ」を見て一番感心したのは第3幕のトスカ自殺の場。舞台の上の城のてっぺんの感じをグレー一色で美しく表現。この音楽にはこの色しか考えられないが、実はこれは県民ホールでも施された美術だった。多分メトが大元だろうが、寒い朝の感じをよく表していた。思うに舞台関連の技術という物は日進月歩。とにかく進歩している。そりゃあ世の中今やパソコン時代。昔のように時間も労力も要らない時代だ。不可能が可能になったこともたくさんあるだろう。しかし、人間の「声」という物は同じように発展は出来ない宿命にある。いやむしろ後退しているのではないか?一人の人間がその身体で出来ることには限界があるのでは?そのまんま取り出してその人の死後も観察が出来れば少しは役に立ち、後進たちに何かを寄与し続けることが出来るかも知れないが、残念ながらそれは無理。しかし、だからこそ、失うものだからこその価値というものが「声」にはあるのではないか。、、、人間、この愛しい者。無駄かも知れない作業(例えば声を磨くということ)に連綿とエネルギーを注ぎ続ける、、、。
さて、興奮醒めやらずオバタリアン4人組は兎に角一度ホテルに帰り、シャワーでも浴びて一休みしよう、という意見も出たが、いやいや一度寝たら起きられないから帰りに何か買って帰って、一部屋で明日の事を相談しよういうことに。するとそれに一番に賛成したのが、なんとあのスヤスヤお休みだったMKではないか!どっか身体でも悪いんじゃないの?と言いたくなったが、ぐっとこらえて、ヒソヒソKさんと内緒話。「どう考えてもあのふとっちょのおっさんは彼女の寝息がうるさかったのよねえ〜。」「でもそんなこと言うと彼女が傷つくから言えないよねえ〜」って、確か言わないはずだったのに、この後Kさんはお酒が入ってポロッと言っちゃった!しかし、MKは全然動じないばかりか、「あら?何言うトン!?あのおッチャンは腰が痛かったんよ!私のせいちゃうで〜!何考えトン?始まる前から腰が痛い言うてはったんよ〜。アホクサ。」だと!まあ、未だにその真偽のほどは分からない。ぷ。
次の日がこの度の最終日とあって、し残したことがないようにと、それぞれがプランを言い合う。私はどうしてももう一度あのテロの跡地に行きたかったし、その前にあるアウトレットのお店で娘や孫達にお土産を買いたかったので、そう言うと、Eさんが一緒に行きたいと言ってくれる。MKは一人で行動したいとほざいていたが、彼女を見ているとかなりアブナイ。全て日本語で通し(それはそれで格好良いとも言えなくもないが)地図も見方もイマイチのような様子が見える。大体コインの価値を私が教えてあげてるのに、信じて無くて、頼れるEさんが部屋に入ってくるやいなや訊いている。ったく、失礼じゃん!?て、どうやら私の行き当たりバッタリのやり方が不安だったらしい。ふぉっふぉっふぉ!一人にするのはこっちも心配だよ。で、どうしてももう一カ所美術館に行きたいKさんとは行動を別にして、3人で早起きしてお目当ての場所に出かけることに。最後のイベントは「オペラ座の怪人」だが、そのチケットをまだ受け取っていない。ということは遅くとも1時にはブロードウエーの劇場前に行ってなくてはならない。そこでKさんと落ち合うことを約束して解散。この日は私はぐっすり眠った。、、、最後の最後まで、トンデモハップンの旅が続く。
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