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2005年11月 6日 (日)

今日は最高!

 たった今、演奏会から帰宅。あまりの感動に一人で乾杯中!
 志度音楽ホールでのハイドンフェスティバル最終日の今日のメイン演奏は、オーケストラにソプラノとアルトが付き、少年少女合唱団も加わるというもので、ペルゴレージ作曲の「スターバト・マーテル」であった。今までいわゆる「宗教音楽」というものを聴いてはきたが、今日のように心の奥深いところで感動したのは今日が始めてかも知れない。一番素晴らしかったのは意外にも少年少女合唱団だった!あとで指揮者が彼らを褒め称えて「こんなに音楽を理解している子供達は素晴らしい財産だ」と評していたが、後からの主催者の説明で、昨日と今日の二日間で特訓されて、ものすごく進歩したという。それはきっとあることで、指揮者に対するおべんちゃらではないと思った。当然二人のソリストにも厳しい注文がつけられたようだが、いやあ、なかなかのステージだった。処刑されたキリストの側で悲しみ苦しむ母親マリアを歌う二人は作曲家の意図するところをたっぷり伝えた。ソプラノは我が落語ぺらにも出演してくれたことのある若い人で、伸びやかな声をふんだんに披露した。
 しかし、感動はこれだけで終わらなかった。ハイドンの交響曲が30分ほど演奏された後、アンコールとなり、指揮者が「ちょっと変わった曲でお別れします」という。どこが変わっているかと集中していると、演奏が始まってしばらくすると一人、二人、三人、、と演奏家達が楽器を持って退場していく。ああ、そうか、これは別れの曲なんだと合点してから涙が止まらない。管楽器、大太鼓からどんどん居なくなり、音楽は続いているのに指揮者まで居なくなる。弦楽器ばかりでしばらく演奏した後最後に残ったのは2台のバイオリンだけ。切なくすすり泣くように向かい合って引いていた二人が立ち上がり、やがて上手下手にと去っていく、、、、。今思い出してもじ〜んとする。これはハイドンの「告別」という曲のフィナーレ部分だと退席する耳にアナウンスが聞こえる。
この曲を演奏する前に指揮者が通訳の女性を通して言った言葉が思い出された。「今から一番大切なことを言います。」と前置きして、「皆さんは今日私達の音楽をとてもよく聴いて下さいました。でも、音楽を理解するのは心です。」子供達の合唱団が「音楽を理解している」と評価したのはそういうことだったんだと分かる。
しかし、その言葉はすぐに裏切られたと、私は思った。私の周辺から次々と驚いた声、次はどの楽器?と興味本位の声が聞こえる。そんなの、どっちでも良いじゃん、と言いたかった。華やかなオーケストラがだんだん少ない楽器での演奏となっていくこの過程を味わわなくては、、、、、だが、最後の二人だけの演奏は、観客の「意外性」に対する感激の声と拍手で効果が半減した。
 いや、それも良いのかも知れない。想定内のことだったのかも。要するに「さようなら」の演出効果はあったのだから。

 余韻をかみしめながら車を運転していると娘からの電話。誰かにしゃべりたくてしょうがなかった私はここぞとばかりにべらべらベら。で、「最後に残った楽器は何で、何台か分かる?」と言ってみたら、いきなり「太鼓!」ときた。ったく、センスがないにも程がある。「ヴァイオリンじゃあ、あまりに普通だから、、、」と言い訳したりして。だからって太鼓でド〜ン!じゃ、悲しくも何ともないじゃん!ぷりぷり。

 いずれにしても、ほ〜んと、今日は凄い拾い物をした。演奏が終わって、真っ暗な駐車場に行くと、空には満天の星が輝き、北斗七星がくっきり。大きな深呼吸をして車に乗り込む。志度なんてちっとも遠くないと、現金にも思ったんだなあ、これが。

 

 

 

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