シチリアの夕べの祈り
日本初演の琵琶湖ホールのオペラに、小濱妙美さんが主役で出演された。「完売御礼」の張り紙を尻目に会場に急ぐ。2000席が完売とは、大したもの。16,000円なりの座席は、舞台を正面に見る一番後ろの席。しかし、そんなことは忘れさせる声量だった。テノールがちょい疑問だったが、バリトンもバスも聴かせどころがあって、全員日本人のオペラにしては圧巻だった。コーラスがざっと数えると80人くらいか。オペラグラスで見ると、ホントに一人一人が生き生きと演じている。あとで小濱さんに訊くと、みんなソロが出来る人ばかり。あの森田君も、妹尾くんも、居た。二人ともちゃんと別なオペラでソリストをやっている人達なのだ。この作品は特に合唱の見せ場が多く、全体の構図も合唱がうまく配置されて素晴らしく分厚いステージとなっていた。日本も、ようやくここまで来たかと思わせるこの舞台に、バレリーナが華を添える。それも
延々と。男性のソロダンサーが素敵だった。全体の衣装があか抜けて良いなあと、感心していたら、あれは全てイタリアからのもの。頭のてっぺんから、つま先までだそうだ!
全てが終わりカーテンコールで、一番最後に登場して一段と大きい拍手を受ける小濱さんに手が痛くなるまで拍手した。いやはや、こんな時は矢張り鼻高々になるもんだ。香川の誇るこの歌手を、地元が応援しないでどうする?て感じ。楽屋に押しかけてあれこれ質問攻めに。彼女がこの公演で一番気を遣ったのはチームワーク、と聞いて納得。そうなんだ。全員が同じ方向を向いてないオペラなんか、絶対面白くない。我がちぇちぃりぁも、大いに参考になるではないか。
それにしても琵琶湖ホールは良い。彼女も毎朝琵琶湖のソバを、ホテルから劇場に通うのが何より幸せだったとか。、、、良いなあ。ホントに良い人生だなあ。、、、彼女は勝ち取ってきたし、これからもそうし続けていくだろう。その前途に光りあれ!と祈るしかない。琵琶湖の夕べの祈りだった。