今日は幸せ。
思いがけない人からアクトホールのチケットを頂いて、アナスタシャ・チェボタリョーワという、何度言ってもちゃんと言えない名前の人のヴァイオリンを聴いた。司会者でさえ何度もつまっていたんだから!。兼ねてから噂は聞いていた。特に、美女好きのI先生なんざあ、他にヴァイオリニストはいないのか?と思うくらい絶賛していたもの。確かに女性が見ても惚れ惚れする美人。何が良かったって、あの自由さ。もう100万回も弾きましたわよ、という感じ。正確さが前に出ないで、しかも巧み。丁度彼女の真ん前で、一段高いところの席のため、まるで私のためにだけ弾いてくれてるような、、、。「タイスの瞑想曲」。あれは父が脳梗塞のため69歳で倒れて二日目、救急病院で私達家族は医者から「覚悟しなさい」と言われた。私は最後に何かして上げたいと父の大好きだったこの曲をテープに録り、耳元でずっと流していたものだった。意識が無いと言われながらも、私には父が聴いて居るようにしか思えなかった。やがて父は甦り医者からは「奇跡です」と言われた。それから16年「寝たきりになります」という言葉も裏切り続け、父は生き続け、時折この曲を聴いていた。今宵その曲が私に迫り、ひととき我を忘れた。私の中の父が聴いていて涙ぐんでいたようだった。
指揮者はナント若干24歳。マッチ棒のような華奢な体を折り曲げて愛嬌たっぷりな入退場に観客は皆沸いた。指揮ぶりも昔スマイリー小原というポピュラーの指揮者が居たが、まるでその子孫かと思うような踊り方。そう、踊っていた。もう音楽が好きで好きで溜まらない!といった感じ。思わずこちらも引き込まれてしまう。いかめしくてロボットみたいな、、例えばあのイタリアの、え〜と最近名前が出てこないが、又思い出すだろうが、あの思いっきり偉そうな人よりはずっと好感が持てる。演奏だって悪くない。ちゃんとツボを押さえている。これからはこんな人達が世の中を制覇するんだろうなあ。微笑ましい限り。
微笑ましいと言えばもう一つ。隣の席に高校生くらいの可愛いアベックが座っていた。休憩が終わっても彼女が席に戻らない。やがてヴァイオリンが始まると、ソロの時は彼が身を乗り出して聴き入り、合奏になると背もたれに移動して「ふ〜っ!」とため息。あまりの美貌と音楽の素晴らしさに感動しきっている様子。でも何故女の子は居ないのか?といぶかしく思っていると、やがて舞台にそのガールフレンドが花束を持って現れた。そうだったのか、とさりげなく隣を見ると、今度は男の子の興味がその女の子に移る。花束を渡して頭を下げる女の子と同じように小さく頭を下げているではないか。退場を首を回してみているのは勿論である。ああ〜ん、可愛い!
いやあ、本日は良いものを見せて貰ったぁ、、。いやいや聴かせても貰ったぁ。
ホントにし・あ・わ・せ。
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