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2003年3月 8日 (土)

しみじみと、、、。

 今夜は溜まりに溜まった映画鑑賞をしてきた。ちゃんと音楽祭の練習のアト。レイトだのに「戦場のピアニスト」は話題作だからか高かった。見終わった今は全然気にならないが、、、。
 今日の日記はMariさんはもし未だこの映画を観て無くて行くつもりなら読まないでねっ!

 今までに数多くの反戦の映画を観てきたし、ナチスドイツの残酷な暴力も数多く観た。、、、でも、今夜のはとても押さえた表現で、あおり立てるような描写は少ない。だから余計臨場感があり、まるでそこに自分も立っているような感じがした。そして最も不思議だったのは、全てが終わって、オーケストラをバックに弾くピアニストの手のアップと共に流れるピアノの演奏を聴きながらようやく涙が溢れてきたことだった。いつもなら、最後まで聴かず、制作者の名前なんかに興味はないとばかり立ち上がる私が、立てなかった。私と同じ思いの人もたくさん居たようで、場内が明るくなって初めて立ち上がる人が多かった。
 お話のなかには、力のあるピアニストがユダヤという理由で理不尽な迫害を受け、家族を全て失い逃亡生活を続ける中、音を出してはいけないから目の前にあるピアノに手がかけられないというつらい場面も。しかし、思いがけずドイツの将校に発見されてピアニストと名乗り、促されて久々にピアノを弾く。その将校が何故彼を救ったのかが、沈黙の演技の中で雄弁に語られる。人間は彼のピアノのように神に近い音色を奏でることも出来るが、一瞬のうちに街を廃墟とする悪魔に近いこともやってしまう。月夜の晩隠れ家からいきなり白い廃墟となった街に彼がたたずんだとき、私は月面に着陸した宇宙飛行士を思った。生物が一つも居なくなった場所に立つ孤独感がひしひしと胸に迫る。絵画的なその場面は彼が弾くピアノが流れる場所として再び画面に現れる。戦争という容赦のない悲劇の舞台を、神の涙のように鮮烈なピアノの音が流れる、、、。
 これが実話であるということが、最後のエピローグで語られ、それがしみじみと胸に落ちた。

 

 

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